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英語のオシゴトと私 第6回 ―石塚美佳
好きこそ物の・・・

2019年4月22日|英語のオシゴトと私

 多種多様なことに興味を持つ私には、飽きっぽいという一面がある。ピアノや水泳は56年、アニメの追っかけは3年、ダイエットにいたっては各種数日ずつで終わっている。そのような私が今日に至るまで継続できていることが2つある。1つはバレエやコンテンポラリーダンス、演劇、歌舞伎やミュージカルといった舞台芸術鑑賞。これは40年以上続いている。もう1つが英語に関する興味である。「英語に関する興味」と言ってしまうとかなり大ざっぱな感じだが、中学1年生の時に初めて英語に触れて以来、英単語や文法と日々格闘することはあったものの、嫌いになることはなく、英語と英米文化に興味を持ち続けることができた(と言っても、アメリカの大学院で勉強し始めた時は、そのハードさ故に、英語を見るだけで吐き気をもよおしそうな時も…)。

 英語が好きになったきっかけはいくつかある。1つはTVの音楽番組で Peter, Paul and Maryというフォークソンググループが “Blowin’ in the Wind” と“Puff, the Magic Dragon” という歌を歌っているのを聞いて、英語で歌が歌えるといいなと思ったことである。もう1つは、ハマっていたアニメーションの関連グッズに、“Man may transcend even time years ahead ―人類は時間さえ超越するかもしれない” と書かれているのを見て、なぜだかかっこいい!英語ってかっこいい!と思ったことである。このアニメーションにはカタカナ語が多く使われていて、それが英語であると徐々にわかった時、逐一その単語の意味とスペリングを調べていたのであった。

 英語と現在の仕事とを結びつける最大のきっかけは、高校1年生から2年生になる春に、英国短期留学のプログラムに参加したことである。イギリスでホームステイをしながら語学学校で約2週間勉強し、残りはパリ、ジュネーブ、ミラノ、フィレンツェ、ローマを駆け足で訪れ、文化遺産を見て回る、といった語学の勉強と異文化社会見学を兼ねた研修プログラムであった。2週間という短い期間であり、なかなか上手く自分の考えや気持ちを英語で伝えられない状況ではあったが、ホストファミリーとも仲良くなり、英語をさらに勉強したいと思うきっかけとなった。研修参加前には、大学で日本文学科に進学するつもりで受験科目も選択済みだったが、帰国後すぐに進路変更して英米文学科を目指すことに決めたのである。元々、教師を志望していたので、国語教師から英語教師へと将来の希望も大きく変わることになった。

 このイギリス短期留学では、実は大失態をおかしている。当時、中高の親しい友人と日曜日にも会えるからという単純な理由で、日曜学校に通っていた。イギリス滞在中の日曜日にカンタベリーを訪れる機会があり、せっかくの貴重な機会なので英国国教会総本山であるカンタベリー大聖堂での礼拝に出てみたいと思ったのだった。日曜学校で礼拝に出席したことがあるから大丈夫、と楽観的に考えて出席したのだが、渡された日曜礼拝の式次に目を通してもよくわからない。宗派が異なれば、式次だって違うことを知らず、日本での自分のわずかな経験だけに頼って出席したばかりに、なんと献金と聖餐式(洗礼を受けた信者だけがパンと葡萄酒を口にする儀式)を間違えてしまったのであった。気づいた時には既に遅し…。いま思い出すだけでも顔から火が出そうだ。自分の英語力の低さと異文化理解に対する知識のなさを実感した。だが、この経験は授業で言葉と文化について語る時には役立っている(が、もちろん学生に、そして家族にもこの体験については語っていない!)。

 それなりの長い年月、教師として英語と関わってきたが、自分が理想とする英語のレベルには、なかなか思うように到達できないのが現実である。とはいえ、授業では音楽(歌)や映画を題材に扱うことも多く、自分が好きだった歌や感動した映画の台詞を紹介しながら、新しい教材を開拓している。「好きこそ物の上手なれ」。まだまだ修業の身。上手だとは自信をもって言えないが、好きでいることが継続のモチベーションになることは間違いないと思う。好きな英語と関わるオシゴトを続けていられることに感謝しながら、今後も英語の魅力を学生たちにもっと伝えていきたい。それが、学生たちが若いうちに体験を通して感性を磨くきっかけにつながって欲しいと願うばかりだ。

 

 

【プロフィール】石塚 美佳(いしづか みか)

東京工科大学教養学環教授。専門は英語教育学。
高等学校検定教科書(2009年~)、『Study Bear 中学2年編』(旺文社、2002年)、『英検準2級問題集』(旺文社、2005年)、『American Spirits in Movies -名作映画で学ぶアメリカの心』(成美堂、2010年)、『第二言語習得と英語科教育法』(開拓社、2013年)などの執筆に携わる。
趣味は舞台芸術鑑賞。